いつもこちらのブログではDrupalのモジュール紹介を書かせてもらうことが多いのですが、今回は少し違った内容を書こうと思います。
Drupalの開発者Dries Buytaert氏が約8年ぶりに日本に来日するということで、3月に東京で開催されたAcquiaのイベントに参加してきましたので、そのときの内容をお伝えしていこうと思います。
1日目はAcquia社のイベント、2日目はLINEヤフー株式会社でのイベントにお邪魔させていただきました。
1日目:ACQUIA JAPAN PARTNER MEETUP MASTERCLASS#1 WITH DRIES
会場に着いてすぐにAcquiaの方からドリスを紹介してもらい、挨拶をさせてもらいました。
とにかくドリスの身長が非常に高く驚きました(笑) 私の身長は180cmあるため日本人としては大きい方だと思いますが、2m近くあるであろうドリスを見上げながら話すような形になりました。
弊社はDrupal5から取扱をしていることをドリスに伝えると、かなり古いバージョンだね、ととても驚いていました。
イベント内容としては大まかに下記の4部構成でした。
- Drupalとアクイアの歴史
- Acquia Cloud Platformの進化
- アクイアの2024年戦略
- Acquia TAMの紹介について
特に印象的だった部分を紹介します(Youtube動画の文字起こしデータの機械翻訳の為、精度はあしからず…)
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
2005年には、Drupalのウェブサイト、drupal.orgを運営していたサーバーが基本的に機能停止しました。それ以上の拡張ができなくなったのです。当時私は学生でお金がなかったため、新しいサーバーを購入する必要がありました。私の唯一のアイデアは、drupal.orgのすべてのページをPayPalボタンが中央にある空のページに置き換えることでした。その下には「サーバーを購入してdrupal.orgを再びオンラインにするために、少しのお金を寄付してください」というテキストを載せました。素晴らしいことに、24時間以内に人々は$10,000を寄付しました。そして、PayPalは怪しいトラフィックが原因で私のアカウントをブロックしました。なぜなら、Drupalの最初の5年間で私が受け取った合計は$50だったからです。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
ある日、私はホワイトハウスから訪問の招待を受けました。当初はrecovery.govについて話すのだと思っていましたが、会った時、アメリカのCIOはwhitehouse.govにDrupalを使用できるかどうかを尋ねました。非常に緊張しましたが、冷静を保って「はい、使えます」と答えました。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
→2つとも、ドラマや映画のような夢のある話で聞いていて非常にワクワクしますね・・・!他のエピドードも含め、ものすごい勢いでDrupalが成長していったお話をお聞きしました。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
これは、Amazonの創業者であるジェフ・ベゾスの話です。彼は数年前にインタビューを受け、インタビュアーから「Amazonが投資しようとしている大きな新しいものは何ですか?」と質問されました。ジェフ・ベゾスはその質問に少しイラッとして、「それは実際には間違った質問です。Amazonでは、次にくる光り輝くオブジェクトには興味がありません。代わりに、私たちは自分たちに、「何が変わらないのか?」と問います。10年前に真実だったこと、今日真実であること、そして10年後も真実であるだろうこと、それが私たちが投資するものです。なぜなら、それは非常に安全で成功する可能性が高い投資だからです」と答えました。
ですから、次に来る大きなものが何かを自問するのではなく、長期的で持続可能なトレンドが何かを自問してください。例えばAmazonにとっては、顧客はより早い配送速度を求めており、それは10年前も真実で、今日も真実であり、10年後もまだ真実であるでしょう。そして、それがAmazonが配送をより速くするために何十億ドルもの投資をしている理由です。飛行機を購入し、トラックを購入し、配送をより速くするためです。」
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
→WEB業界は日々新しい情報で溢れていますが、トレンドを追うこと自体が目的になってしまうリスクもあり、本質的に重要な部分を見落としてはいけないと改めて感じました。
今後Acquiaは、DAMやMAなども含めたDXP(デジタル体験プラットフォーム)に注力していくとのことです。
弊社もAcquia社のパートナーとして、対応できる幅を更に広げつつ知見を溜めていかなければ、と思ったイベント内容でした。
※更に詳しい内容はYoutube動画をご覧ください。
【日本語逐次通訳】History of Drupal and Acquia ー Drupalとアクイアの歴史
【日本語逐次通訳】Evolution of Acquia Cloud Platform / Acquia Cloud Platformの進化
【日本語逐次通訳】Ahead of the curve ー アクイアの2024年戦略
2日目:Driesと語るDrupal交流会2024
前日のAcquiaのイベントと比較して、よりDrupal単体にフォーカスされた内容でした。
ドリスの説明にも熱が入ったようで、予定していたセッション時間を30分近くオーバーした為、ドリスへの質問タイムの時間がだいぶ短くなってしまいました。
限られた質問ではありましたが、その中でも下記のFAQが特に印象的でした。
Q:もしDrupalをイチから作り直すなら、どんな技術スタックで開発するか?
A:PHP選択したことがよかったことの1つ。
利用者が多く、使いやすくて、学習しやすいため。
もし他に検討するならJavaScript、Rust。Rustはちょっと使いにくいのと学習難度が上がる。
Q:Drupalの価値を最大限に生かせるのはどのようなプロジェクトか?
A:他のシステムとの連携が求められるプロジェクト
シンプルなCMSやSaaSではカスタマイズが大変だが、Drupalは柔軟性が高い為少しのカスタマイズで連携ができる
Q:もし過去に戻れたなら、Drupalの直したいこと
A:ユーザーフレンドリー
最初の5年は開発者である自分が自分で使うために作っていたので、ユーザーフレンドリーではなかったため、最初から使いやすいものであればよかった。
Q:ヘッドレスで構築する場合どのフレームワークがベストか?
A:Next.jsがよいのでは?
Dries自身はフロントエンドエンジニアではないという前置きのうえでの回答。 Drupal nextというソリューション があるのでぜひ見てほしいとのこと。 Dries個人的にはReactよりもVueが好きだそう。
Q:WordPressと比較してDrupalが優れている点
A:DXPで考えるとDrupalに強みがある
10年前は比較するのが難しかった。 WordPress:シンプルなWebサイト、Drupal:複雑なサイトとも一概に言えない ただし、Drupalは複雑なものを取り扱うのには適している。DXPや様々なソリューションとの連携、DXPで考えるとDrupalに強みがある
参加者向けに行われた投票では、Drupalをいつから使い始めたか? という質問に対して
→「Drupal8から」が一番多い結果でした。
「私が作ったという回答も4%ありましたが、Dries曰く「Drupalプロジェクトに貢献してくれているコントリビューターなら、自分が作ったと名乗っていいよ!」とのことでした。
今後、ContentHubの新バージョンの発表が控えている件や、新たなコンテンツ作成体験や自動アップデート機能など予定されているリリースについても紹介されていました。
どれもお客様から要望いただくことも多い内容で、今後の発信が非常に楽しみです。
セッションとドリスへのFAQが終わった後は、ネットワーキングイベント+ライトニングトーク大会が開催されました。
ライトニングトークでは、モチヤ様、電通デジタル様、ジェネロ様、Acquia社の方々がそれぞれ持ち時間5分で各社の取り組みについて紹介されていました。
会場では、飲み物やお菓子に合わせて、ドリスの似顔絵クッキーやDrupalロゴが入ったポケットサンドなどが軽食として出されていました。
似顔絵入りクッキーは心理的に少し食べにくいですが、しっかり美味しくいただきました(笑)
まだまだ書きたいこともありますが今回はこのくらいにさせていただきます。
(もっと詳しい内容に興味がある方は直接東にお問い合わせください!)
色々と学びが多い、非常に濃い2日間となりました。
今後も引き続きイベントに参加し、新しい情報をキャッチアップしていきたいと思っています。