1. Drupal11の動作環境は?

Drupal 11を使用するためには、以下の環境が必要です。

  • MySQL/Percona 8以上
  • MariaDB 10.6以上
  • SQLite 3.45以上
  • PostgreSQL 16以上
  • PHP 8.3以上
  • Composer 2.7.0以上

Drupal11はPHP 8.3以上の環境でしか作動しないのですが、これによりAcquia社が実行したベンチマークによるとPHP8.2より約1.5倍の速度向上(Drupal10基準)が確認されました。PHP8.2以下の環境はDrupal11に対応していないため、Drupal11を運用する前にPHP環境のアップデートが必要となります。

2. Drupal10とは何が違うのか?

1) いくつかのCore moduleがContributed moduleに

以下のモジュールがDrupal 11でコアモジュールから除外されます。このモジュールはCore moduleに管理したより、Contributed moduleに変更したほうがより実用的なmoduleになれると考えたでしょう。

■Drupal11でContributed moduleに移行するModule
・Actions UI, Book, Tracker, Forum, Statistics, Tour

2) 新しい機能やモジュールの追加

①洗練された管理者用ナビゲーションの追加

まだ試験段階なので正式にコアモジュールに含まれているわけではありませんが、このモジュールを使用することで管理者用ナビゲーションが大幅に改善されるされるようです。

new navigation

②recipes APIの追加

 recipesとは、Drupalを使用してウェブサイトを構築する際により簡単かつ迅速に行うため、サイトの用途に合わせて必要な機能をあらかじめ作成しておいたものです。サイトを構築する際に自分がどのようなサイトを制作したいのかに応じてrecipesを選択できます。それにより、サイト構築の時間を短縮できるとのことです。

③Experimental modulesから正式にCore moduleになるWorkspaces module

Workspaces moduleは一つのサイトで複数のワークスペースを作成し、コンテンツを段階的に反映したり、サイト全体のプレビューを見ることができるモジュールです。

Workspaces configuration screen

Stageというワークスペースにて作成した「テストテスト」コンテンツは本番サイトには作成していないため、差分として一覧に表示されています。Stageのワークスペースではこの「テストテスト」コンテンツの確認だけではなく、コンテンツが入っているViews blockやViews pageもどのように表示されるか確認できます。なお、Workspacesの管理画面からStageに作成したコンテンツを本番サイトに適用することもできます。


④New access policy APIの追加

現在Drupalには役割(Role)に応じて権限を付与していますが、これに加えてドメインや時間ごとに権限を付与する機能が追加されました。これにより、.jpサイトは日本サイト担当者のみ、.ukサイトは英国サイト担当者のみコンテンツの作成/編集が可能になったり、夜間は作業が不可能になるなどの色々制御が可能になります。

⑤Taxonomy term revisions and moderation support

現在タクソノミーには履歴管理機能がありませんが、リビジョン機能を追加してより簡単にタクソノミーを管理できるようになります。

Taxonomy configuration screen

 

3) 今後、Drupal 11.1以降に追加される機能

今後のDrupal 11.1バージョンには以下の機能が追加される予定です。

①Project browser

ウェブサイトを開発および管理する際、新しいモジュールを追加する必要がある場合があります。現在、モジュールを見つけるためには新しいウィンドウでdrupal.orgページを開き、モジュールを検索する必要があります。しかし、この機能(Project browser)を使用するとサイト内で簡単にモジュールを見つけてインストールできるようになります。

②Automatic updates
 
オートマチックアップデートUIを活用すると、インストールされたモジュールの更新やセキュリティアップデートを簡単に取得できます。

③Experience Builder

サイトを作成したいがDrupalの経験がない人々のために、簡単に全体のウェブサイトを一つのテーマで構築できるようにする機能です。

最後に...

Drupal 7の場合、サポート期間が2025年1月をもって終了します。約7ヶ月程度残っているため、Drupal 7を使用している方は最新版のDrupalへのアップデート準備を始めることをお勧めします。Drupal 10の場合、2026年第2四半期が予定されているため余裕がありますが、より速い環境でDrupalを使用したい場合は、Drupal 11へのアップデートを検討するのも良いでしょう。

ありがとうございました。