複数のWebサイトを保有していている企業様によくある課題とは?

Webサイトを管理するのは、国内では各事業部、海外サイトでは現地販社と複数の組織が携わってくることも多く、様々な立場の人がWebサイトの企画・制作・運用に関わることで、企業全体の視点で最適化することが困難なケースが増えています。 その中でもよくある課題として

  • 複数のシステムで管理されていて統制が取れていない。
  • Webサイトごとに管理組織が異なり掲載情報の収集や承認に手間がかかる
  • Webサイト間の連携不足により機会損失が起こる

などが挙げられます。これらの課題を解決するためにサイトを統合し、ガイドラインで縛り、画一的にすればすべて解決するわけではありません。国や地域による法律や商習慣、顧客ニーズ、Web戦略を考慮し、統合すべき部分と自由度の高い部分を適切に切り分けることが重要になってきます。そのため、世界的の大企業や公的機関で採用されているCMS「Drupal(ドゥルーパル)を活用したサイト統合が効果的です。

Drupalを選ぶ理由

Drupalは、オープンソースのコンテンツ管理システム(CMS)として、多言語対応、高度なカスタマイズ性、スケーラビリティに優れています。特に以下の機能がサイト統合において有用となります。

1. マルチサイト機能

  • 概要: 1つのDrupalインストールで複数のWebサイトを管理できます。
  • メリット
    • 統一された管理環境で、運用コストを削減。
    • 各サイトごとに異なるデザインや機能を維持しながら、共通コンテンツを再利用可能。
    • ブランドの一貫性を保ちながら、地域や事業ごとの特性に対応。

2. コンテンツの再利用

  • 概要: コンテンツエンティティやビューを活用して、異なるサイト間でコンテンツを共有できます。
  • メリット
    • 一度作成したコンテンツを複数のサイトで活用可能。
    • 最新情報を一元管理し、更新の手間を削減。
    • コンテンツの品質と一貫性を確保。

3. 高度なユーザー管理

  • 概要: 権限ベースのアクセス制御により、複雑なユーザー管理が可能になります。
  • メリット
    • 各サイトや部門、地域ごとに異なる権限を柔軟に設定。
    • 管理者の役割を明確化し、運用を効率化。
    • 権限の階層化やカスタマイズにより、セキュリティを強化。

4. セキュリティの堅牢性

  • 概要: Drupalは強力なセキュリティ機能を備え、定期的なセキュリティ更新が提供されます。
  • メリット
    • 多くの大企業や政府機関が採用するほどの信頼性。
    • データ漏洩や不正アクセスを防止。
    • セキュリティチームによる迅速なパッチ提供。

サイト統合のステップ

具体的なサイト統合のステップをご紹介させていただきます。今回はその一部紹介させていただきます。

1. 現状分析と要件定義

ターゲットユーザーと市場の理解
  • 各サイトの主要ターゲット(地域、年齢層、興味関心など)を把握し、統合後もそれらのニーズに応えられるようにします。
    例: 国内市場向けと海外市場向けでは、ユーザーの好みや購買行動が異なる場合などが挙げられます。
業務プロセスの確認
  • サイト運用に関わる部門や責任者を明確化し、情報収集から公開までのフローを効率化します。
    例: 誰がコンテンツを作成し、誰が承認するのか。承認プロセスの自動化が可能かどうか。
機能要件の定義
  • 統合後に必要な機能をリストアップします。
    例: 多言語対応(翻訳管理システムの導入が必要か)。商品検索やフィルタ機能(検索条件やパフォーマンスの最適化)。ユーザー登録や権限管理の複雑さ(管理者ごとにカスタムロールが必要か)。

2. 統合アプローチの選定

マルチサイト vs. シングルサイト
  • マルチサイト: 個別のドメインやブランドを持つ場合に有効。
  • シングルサイト: 一貫したユーザー体験を重視し、共通のデザインやナビゲーションを採用する場合に適用。
モジュールの選定
  • 統合の目標に基づき、必要なDrupalモジュールを選定します。それぞれのモジュールがどのように課題を解決するかを詳細に検討します。

3. コンテンツ移行と統合

コンテンツの整理と標準化
  • 異なるサイトで使われている類似タグをマッピングし、同じ意味を持つものを統一。
    例: 「ニュース」と「お知らせ」を「ニュース」に統一。
フィールド構造の見直し
  • 各サイトで異なるデータフィールドを統一します。
    例: 価格情報を「整数」フィールドに統一。日付フィールドのフォーマットを「YYYY-MM-DD」に統一など
SEO対策を考慮したURL設計
  • すべてのページが統一されたURL構造を持つように見直し。
    例: /category/product-name形式で階層を明確化。

4. カスタムテーマの設計

ブランドガイドラインの統一
  • 各サイトのブランドイメージを統合しつつ、独自性を維持。
レスポンシブデザイン
  • モバイルとデスクトップでの優れた体験を提供するために、以下の点を考慮します
    • 軽量で効率的なCSSとJSの設計
      • 不要なスタイルやスクリプトを削減し、パフォーマンスを最適化。
      • CSSグリッドやフレックスボックスを使用して動的なレイアウトを実現。
    • デバイス別の最適化
      • 高解像度ディスプレイ(Retina対応)向けの画像を準備。
      • タッチスクリーン向けにボタンやメニューの大きさを調整。
    • アクセシビリティ(WCAG基準の順守)
      • キーボード操作の対応。
      • 色覚に配慮した配色とコントラストの調整。

5. テストと展開

ユニットテストとユーザーテスト
  • 機能テストに加え、ユーザー体験の評価を実施。
リリース計画の策定
  • ロールアウトは段階的に行い、問題が発生した場合は迅速にロールバックできるように準備。
継続的なモニタリング
  • ローンチ後も、Google Analyticsやパフォーマンス監視ツールを活用して、サイトのパフォーマンスを追跡。

まとめ

Drupalを活用したサイト統合は、多くの企業が抱える課題を解決し、次のような成果をもたらします。

  • 管理効率の向上: 複数サイトを一元管理できるため、運用コストを削減し、運用フローをスムーズにします。
  • ブランドの一貫性強化: 統一されたデザインやコンテンツ戦略により、顧客に一貫したブランドイメージを提供できます。
  • 柔軟な拡張性: Drupalの高度なカスタマイズ性により、今後の事業拡大や技術要件の変化にも対応可能です。

成功の鍵: Drupalを用いたサイト統合を成功させるには、以下のポイントが重要です。

  1. 計画的なアプローチ: サイト統合の全体像を明確にし、段階的かつ効率的に進める計画を立てます。
  2. 適切なツール選定: ビジネス要件に基づき、必要なモジュールや拡張機能を選択します。
  3. ユーザー視点の重視: 単に管理者側の利便性だけでなく、ユーザー体験(UX)を向上させる設計を心がけます。

Drupalを用いたサイト統合は、管理効率の向上やブランドの一貫性強化に寄与します。ただし、計画的なアプローチと適切なツール選定が不可欠になってきます。本記事で紹介したステップを参考に、自社のニーズに合った統合プロジェクトを成功させてください!